魂の涙〜メメント・モリ〜

7年前から境界性人格障害(ボーダー)、2年半前に鬱が発症、通院を開始。鬱、ボーダー闘病中の七海が辛い失恋を乗越え羽ばたいていくありのままの姿。※重い内容なので連鎖鬱にご注意下さい。

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§ 人生最低の振られ方

メールのやりとりをして、半月前からお付き合いしているYさん…。ちょっとした価値観のズレからいざこざが起こった。電話で長々話した結果、彼は「自分の意見が言えないけれどすごく自我が強い」「相手の女性に自分の思うままを求める傾向にある」ということが判明した…。

私が以前付き合っていて、現在うやむやな関係になっている海外で博士課程にいる元彼も「自分の意見が言えないけれどすごく強い自我を持っている人」だった。この元彼とYさんは一見正反対の性格に見えたので、この事実はすごく意外だった。私は自我が強いけれど、自分の意見をはっきり言う方で、感じたことや考えたことは全て口にするタイプ。だから、自分の考えを口にしない人のことが中々理解し難い。元彼は、私の言うことややることに、全く意義を唱えることなく「うん」と賛同し続けていたのに、ある時「七海にはもう耐えられない。」と言うことがしばしばあった。私は「具体的にどの部分に耐えられないのか…今まで喧嘩ひとつしていないのに、何故突然そんなことを…?」と愕然とするばかり。私の様に自分の思ったことを何でも相手に伝える人間にとって、口にしない、または相槌を打つ=異議なし…と捉えてしまう。そんなところで、元彼と上手くいかなかった経緯があったから、Yさんが同じような性格だと知った時はショックだった。

そしてYさんが「相手の女性に自分の思うままを求める」というのは、私がボーダー時代にやってきて、ことごとく相手を不幸にしてきた最大の問題点…。そして正に今自分が改善すべく取り組んでいる課題。それと同じものをYさんが持っていることも、厄介なことだった。

でも、Yさんには私にはないタフさや、前向きで楽観的なところがあり、2歳しか年は違わないけど、とてもしっかりした考え方を持っていて、常に冷静で優しい…そんな魅力的なところがある。だからこそ、Yさんに惹かれた。そしてYさんとは恋愛に対する価値観や感覚がとても似ていて、居心地が良かった…。

色々考えたけど、コミュ仲間のアドバイス通り「悪いところや合わないところばかり見るより、まずはお互いに良いところを見よう」…そう思うことが出来るまでになった私は、Yさんに電話して告げた。

「Yが自分のマイナスの部分を少しずつ直す様努力してくれる気があるなら、私はYと一緒にいたい。例えば、自分の思ったことはなるべく伝えて欲しいし、私に求めるものがたとえ100%実現しなくても、お互い譲り合って、時には80%、時には50%、時には0%でも良い…そう思えるように考えをシフトしていく…そういう風にしていってくれるなら、Yにはいっぱい良い所だってあるし、感覚が合う部分だってあるんだから、一緒に歩んでいきたいと思うよ。」

Yさんはそれを承諾してくれた。自分でも直した方が良いと思っていたようだ…。私はほっとしたと同時に、前向きになれた自分が嬉しかった。

でも、話は何故かそれだけで終わらなかった。私を最悪の悲劇が襲った…。けいちゃんのことで、既に一度泥沼を味わい、自殺未遂までした私に、何故こうも悲劇が襲うのか…私には理解できない。この世に神がいるとしたら、神は実にいじわるで悪趣味だ…そうさえ思った。恋愛恐怖、男性不信を一所懸命乗越えようとしている私に、なんで次々と不幸な恋愛を送りつけてくるのか?「やるせない…」それ以外に言葉はみつからない。

けいちゃんの時は3ヶ月…そして今回は半月。たった4回会っただけでYさんに振られた…。先週末に会った時は、お互いに別れを惜しみあって、次の週末が待ちきれない…そう言いながら手を取り合って別れたのに…。ここ数日で事態は豹変。

そして今日、まさに私は人生最悪の振られ方をした。

理由は「私とはセックスが出来ないから。」…Yさんと4回しか会っていないし、当然そんな関係は無いし、まだお互いのことも段々知り合っている段階で、まさかこんなことで振られるとは思ってもいなかった。

もう少し詳しく理由を掘り下げると、Yさんはコンドームを付けていると勃起はするが射精出来ない体質らしい。そして私は子供を産むつもりが全く無いため(子供が大嫌いなので、万が一妊娠したら中絶しか道は無い)今まではコンドームとピルを併用して気をつけてきた。というのも、現在の技術では100%の避妊方法は無いため、2重ブロックをしているのだ。Yさんには当初から子供を産むつもりは無いことは話してあったし、Yさんもそれを了承した上で私と付き合っていた…。

でも、Yさんはピルは100%安全な避妊方法だと勝手に信じ込んでいたらしい。ピルの信頼性は高いが、100%とは言い切れない。飲み忘れや、海外へ移動した際に時差の関係などでうまく作用しなかったりすることも考えうる。事実、私の既婚の友人はピルを服用していたにも関わらず妊娠してしまい、最終的に中絶した。子供は夫の子だったが、当時夫婦仲の悪かった彼女は中絶という道を選び、現在は別の男性と再婚している。…そんなことはどうでも良いのだが、ピルだけに頼るには、妊娠が絶対出来ない私にとってはリスクが大きすぎる。もしも仕事が忙しかったり、体調が悪くて飲み忘れたら…そしてそのことに気が付かなかったら…。それを思うとやはりピルだけに頼るのは苦しい。

だから私とは付き合えない…というのである。

私の元彼はEDだった。Yさんどころではない、勃起しないためセックスは出来なかった。それでも元彼との仲が順調だった時は、お互いにスキンシップをしたりしているだけで、満足できたし、愛情を感じあうことが出来た。彼なりの努力が有難かった。

セックスは恋愛や結婚においてある程度重要な意味を持っていることは否めない。でも、それはあくまでも「愛情」というものがあった上で、それをさらに高めるための手段として存在するのではないかと、私は思う。

Yさんとはまだ愛情を育むスタートを切ったばかり…。これからお互いが本当にお互いを必要としていかれるのか、そういったことを確かめ合ってから、初めてセックスというものが出てくるものではないだろうか?それに、コンドームを装着していると射精出来なくても、方法は色々ある…愛情があれば、多少形が違ったって、愛は確かめられる…そういうものではないのだろうか?

それが、お互いのことをまだ良く知らないうちに「セックスが出来ないから別れる」とは何事だろうか?セフレが欲しいなら断る理由になるけれど、Yさんも私も真剣な交際をするつもりで付き合っていたのに…。

私は6時間半かけてYさんを説得しようと試みた。そんなことは、実際にそういう関係になった時に改めて考えれば良いことだし、まずは愛情を持つことが先決ではないか。逆に本当にお互いをこの世で1番と思える位の愛情を抱くことが出来たら、その問題は愛情でクリア出来るかもしれないじゃないか。もし結婚ということになったら、手術などの手もあるし…。どんな話をしても、Yさんは頑なに拒んだ。

「縁が無かったと思うしかない。七海と別れるのは辛いけれど、将来的なことを考えると仕方がない…。これは失恋とかじゃなくて、たまたま合わなかっただけだと考えて。」

いくら付き合い始めて半月しか経っていないとはいえ、相手に恋愛感情がある以上、どうしてそんな簡単に、しかも性格の不一致や大きな価値観の差異などではなく、「セックス出来ないだろう」という、まだ起こってもいない理由に納得して「はい、そうですか。さようなら。」と言えるだろうか?!
私の頭を数々の文字がよぎった。絶望、愕然、驚愕、失望、悲しみ、信じられない、ありえない、呆然…仕舞いには自分がみじめで哀れに思えた。

Yさんと過ごした今までの短かったけど楽しかった時間…。これからお互いに築いていこうとしたもの…。そんなものが全てこんな理由で打ち砕かれてしまった。

「愛情よりも身体の関係のが重要なの?」

私の問いにYさんはこう答えた。

「それは比べられるものじゃない…両方大事だから。」

でも、まだセックスどころか触れ合ってもいないのに、何故こんな理由で振られなければいけないのか…。子供を産まないことはYさんも初めから承知で納得していたことなのに。縁が無かったの一言で済まされる問題なのだろうか。明日のデートを…そしてこの先の2人の日々を楽しみに夢見ていた私の希望は、そんなもので打ち砕かれてしまって良いのだろうか。

私はもう頭の中がぐちゃぐちゃだった。ショックや悲しみも大きかったが、とにかく理解できない…その気持ちが1番だった。「唖然」としか言いようがない。

仕舞いに私は我を失い「私なんか死ねばいい。生きてるからこんなに苦しい思いをするんだ。もうこんな人生から解放されたい。」と泣き叫んでいた…。昨日の主治医の話、そしてYさんからの突然の別れ。

もう私に失うものは何も無い。

その考えが頭に浮かんだ。一睡も出来ない。眠っていた自殺願望が沸々と湧き出てきた。「死神の顔」が「天使の顔」に見えた。大好きな「死」が私に「おいでおいで」をしている。

私の人生にもう何も残ったものはない。

仕事も恋人も失ったら、私は未来を失ったも同じ。ただでさえ生きていたくないのに、生きる理由が一瞬にして消え去ってしまった。私の頭の中に、再びマンションの屋上が見えた。そう、台所の赤い丸椅子を持っていって、最上階の手すりを乗越え、頭から真っ逆さまに落ちる…。ドンッという衝撃音に続いて、ぐしゃっという骨の折れる音。そして真っ赤な血溜りが私の周りにムクムクと広がる…。

私の頭はあの8月12日のように鮮明にその光景を映し出した。ただ、夜が明けてしまったから、もう決行出来ない…ボーッとそんな考えが浮かんだ。

どうして「死神」は早く私を連れて行ってくれないのだろう?私には「職業適性」も無くて、「セックスする資格無しで恋人適正も無し」なんでしょう?早く連れて行ってよ。

死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい

私の頭の中は異様なまでに冴え渡っていた。一睡もしていないのに、瞳はギロギロとして、まるで飢えたケダモノのよう。そう、何に飢えているか?その答えはひとつしかない。

「死」

あまりにも「死神」が私にくっついて離れないため、私は今まで一度も手に取ることが無かった、病を克服して完治宣言を受けた、当時大学生の女の子が書いた本を引っ張り出して読み始めた。母が常々「この子は七海に似ている。どうかこの本だけで良いから読んでみて。」…そう言っていて、この2年間1度も開かなかった本。

病は苦しいけれど、絶対に治るのです。それには周りの協力が不可欠です。そして克服したらとても素晴らしいものを得ることが出来ます。」

そんなことが冒頭に書いてあった。そして、その本には病だった著者の、「病に理解のあるとっても優しい彼氏」が出てきた。それを読んで私は虚しくなった…。

私はこの病気のせいで、一体何人の男性を不幸にし、何人の男性から不幸にされたのだろう…。

もう、どんなに結婚情報サービスからお相手を紹介してもらおうが、結婚情報サイトでメールをいっぱい貰おうが、私には結局病気という難関が立ちはだかっている。大抵の男性は「自分が少しでも力になれれば…。」そう言って私を励まそうとする。でも、結局あっという間に尻尾を巻いて逃げ帰ってしまう…。

病気の七海に恋愛や結婚する資格なんて無い。
病気の七海は職場にはもう戻れない。


「死神」が歌いながらくるくると私の周りを回る。

私に残された「希望」は無い…。仕事に復帰できる確証も、結婚できる確証も無くなった。それどころか、週末に好きな人と会う楽しみさえ奪われた。

神様、私からなんでも奪うなら、次は私の命を奪ってくださいよ。

私はもう生きることに飽き飽きして、ふてくされていた。「死にたい」と泣く力も無くなって、生きながら死んでいるような変な感覚に陥った。突然大笑いして、笑いながらマンションの屋上から飛び降りたい…そんな気分になっていた。

幸か不幸か、母親が隣に座っているので、本当に「死神」が私の命を吸い取って心臓発作でも起こさない限り、私は死なないだろう。でも、私の生に対する執着心は、一瞬にして消えてしまった。

アディオス…そんな明るい気持ちで満面の笑みで死んでいきそうな自分の心がここにある。



2006/10/14/Sat 23:59:59  恋愛のこと/CM:1/TB:0/
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